
次亜塩素酸水とは?特徴・メカニズム・使い方・保存方法まとめ
2020年の新型コロナウイルス感染拡大からさまざまな対策方法が打ち出されています。
その中でも特に注目されているのがウイルスの消毒方法です。
しかし、代表的な消毒液として挙げられるアルコール消毒液は、発火性があり輸送などでも制限があるため取り扱いには十分に気を付けなければなりません。
そこで安心・安全な代替品としてご紹介するのが「次亜塩素酸水」。
発火性はなく、酸化作用という科学的な根拠でウイルスの無毒化に効果的な薬剤という特徴があります。
また、食品添加物にも指定されており食品の消毒にも用いられています。
そんな次亜塩素酸水について「種類・特徴・メカニズム・使い方・保存方法」までわかりやすく徹底的に解説していきます。
ご一読いただき普段のウイルス消毒にご活用いただければと思います。
目次
次亜塩素酸水とは?
次亜塩素酸水とは、殺菌料のひとつで塩酸または食塩水を電気分解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液のことを指します。
厚生労働省より食品添加物に指定されており、ウイルスを酸化作用で無毒化する効果が期待できます。
次亜塩素酸水は強酸性と弱酸性、微酸性に分けられ、それぞれ製法や有効塩素含有量などが厚生労働省によって定められています。
通常では、野菜や医療機器の洗浄などに用いられており、インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルスにも効果的と言われています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構NITEによると、次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度35ppm以上のもので汚れの除去と十分な量を使用すれば新型コロナウイルスに有効と判断しました。
アルコール消毒液の懸念点にお悩みの方は、次亜塩素酸素水の使用をおすすめします。
次亜塩素酸水を使用するのであれば、特徴やメカニズム・使い方などを知っておくことが大切です。
次亜塩素酸水の特徴・種類
次亜塩素酸水は、名前が似ていることから次亜塩素酸ナトリウムとよく間違えられます。
しかし、これらは全くの別物となることを覚えておきましょう。
次亜塩素酸ナトリウムは漂白剤として有名で、ノロウイルスの嘔吐処理などに使用されます。
塩素の臭いが強く、皮膚や粘膜にダメージを与える可能性が高いので手指には使えず、取り扱いには十分注意しなければなりません。
それに対し、次亜塩素酸水は食品の消毒にも使われる安全性の高い殺菌料です。
使用濃度を守れば手指にダメージを与えることなく、細菌類や真菌類、ウイルスに効果が期待されます。
以下、次亜塩素酸水の詳しい特徴を見ていきましょう。
ウイルスを酸化作用で無毒化
次亜塩素酸水は、酸化作用によりウイルスを無毒化することができます。
独立行政法人NITEでは、インフルエンザウイルスを用いて次亜塩素酸水の有効性の検証試験を行った結果、ウイルス感染価の減少値が4桁以上(99.99%)になったと発表されました。
上記の結果を把握するにはウイルスの構造について知っておくと良いでしょう。
ウイルスには構造によってエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの二種類に分けられます。
エンベロープウイルスは名前の通り膜を持っているウイルスで、その膜は脂質やタンパク質、糖タンパク質で構成されています。
この膜があることで感染力を保っていますが、膜が壊れるとウイルスが無毒化する特徴があります。
インフルエンザやヘルペスウイルスがこのエンベロープウイルスに挙げられ、新型コロナウイルスもこれに該当します。
ですから、上記の検証結果によって新型コロナウイルスにも次亜塩素酸水の効果が期待できると言えるでしょう。
一方、ノンエンベロープウイルスは膜を持たず、ノロウイルスやロタウイルスなどが挙げられます。
膜を持たないことから抵抗力が強く、アルコール消毒をしても無毒化することが困難です。
そこで、ノンエンベロープウイルスを無毒化するために次亜塩素酸ナトリウムが使用されます。
家庭では、市販の塩素系漂白剤を使って消毒する人が多いでしょう。
厚生労働省によれば同様に次亜塩素酸素水もノロウイルスに効果が期待できるという調査結果となっています。
ただし、次亜塩素酸水でウイルスを不活化するには有機物を除去した上で濃度200mg以上あることが求められます。
簡単に言えば次亜塩素酸水を使用する際、汚れを取り除き各ウイルスに対する決まった濃度を使用すればエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスのどちらにも効果が期待できると言えるでしょう。
食品添加物(殺菌料)に指定されている
次亜塩素酸水は、食品添加物に指定されています。
食品添加物には着色料や甘味料、保存料などさまざまな種類があり次亜塩素酸水は殺菌料に該当します。
食品中の細菌や微生物を死滅させ、私たちの食の安全を守ってくれています。
例として野菜や果物の消毒や調理器具などの衛生管理に使用されています。
「食品に殺菌料を使用しても大丈夫なのか?」と心配になる人も多いですが、次亜塩素酸水が完成前に除去されることが使用基準とされています。
また、食品添加物として使う場合は、強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水の3種類が認可されています。
これらは、pHと有効塩素濃度で異なり、下記のように分けられます。
「種類・pH・濃度」
強酸性次亜塩素酸水 2.7以下 20〜60mg/kg
弱酸性次亜塩素酸水 2.7〜5.0 10〜60mg/kg
微酸性次亜塩素酸水 5.0〜6.5 10〜80mg/kg3
塩素の蓄積と錆に注意が必要
次亜塩素酸水はウイルスの無毒化、安全性の高さなど多くのメリットがありますが、使用するには注意すべき点があります。
まず、第一に次亜塩素酸水は、強い酸化作用があるので金属が錆びることがあります。
ウイルスを不活化してくれる酸化作用ですが、残留した塩分で金属製のもの、楽器類、精密機器などの錆を引き起こしてしまいます。
また、加湿器などを利用し空気中に噴射した場合、塩素が体内に入ってしまう可能性があります。
実際は、塩素が換気によって外に出ることや物に吸着することがあり、電気分解された次亜塩素酸水(50ppmほど)を空間噴霧しても害がないと言えますが、高濃度の次亜塩素水を噴霧すれば基準値を超え害になる場合があります。
また、加湿器にも金属が使われているので錆を引き起こすでしょう。
空気中のウイルス対策には次亜塩素酸水を使用するのではなく、換気をするなどの対策をすることをおすすめします。
そして、次亜塩素酸水は有機物に触れることや紫外線に当たることで水に戻る性質があります。
この性質から安全性が高いと言えますが、ウイルス無毒化効果はすぐ失われてしまいます。
そのため、厚生労働省では使用期限を守り、遮光性の容器に入れ冷暗所で保管することを推奨しています。
強酸性電解水
強酸性次亜塩素酸水は強酸性電解水とも呼ばれ、0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液を電気分解し、陽極側で生じるpH2.7以下有効塩素濃度20〜60ppmの電解水のことを指します。
高い殺菌力がある強酸性電解水は、次亜塩素酸ナトリウムに匹敵する効果があります。医療現場を主に使用されています。
弱酸性電解水
弱酸性電解水は、0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液を電気分解し、陽極と陰極の電解水を混合することで生成されます。
食品添加物では、pH2.7〜5.0、有効塩素濃度10〜60ppmとされています。
微酸性電解水
微酸性電解水は、2〜6%塩酸水もしくは塩酸と塩化ナトリウム水溶液の混合液を電気分解することで生成される次亜塩素酸水です。
5.0〜6.5 pH、有効塩素濃度10〜80ppmとなります。
生成された水は全てが微酸性電解水となり、有効塩素濃度が低くても抗ウイルス効果があると言われています。
洗浄後のすすぎ水などとして利用されます。
微酸性電解水は、塩素の臭いも少なく、錆やカビなどの心配がありません。
次亜塩素酸水のメカニズム・注意点
次亜塩素酸水を生成するためには電気分解が必要となりますが、非電解型の次亜塩素酸水も存在します。
次亜塩素酸水がどのように生成されるのかメカニズムを解説していきましょう。
電解型の次亜塩素酸水
電解型の次亜塩素酸水は、食塩水や塩酸を電気分解し生成されたものを指します。
電気分解は溶液に電圧をかけて電流を流し、正極で酸化反応、負極で還元反応を引き起こします。
電解型の次亜塩素酸水を生成する装置はさまざまで、強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水など製品によって生成することができます。
生成する際に使用するものは水道水と電気と食塩のみとなるので低コストで安全性を高めることができます。
電気分解装置で生成される電解型の次亜塩素酸水は食品添加物として指定されています。
pHや濃度が調整されており、ウイルスなどを消毒することができます。
ただし、有機物に触れると水となってしまうので、食品現場ではその場で生成し使用することがほとんどです。
非電解型の次亜塩素酸水
非電解型の次亜塩素酸水にはいくつか生成方法があり、次亜塩素酸ナトリウムに酸と混ぜ適正なpHに中和させる方法(混合法)や粉末を水に溶かす方法(粉末法)などがあります。
また、次亜塩素酸ナトリウムに炭酸ガスを混ぜたり、イオン交換を行いpHを調整する方法(イオン交換法)などさまざまな方法が存在します。
厚生労働省が指定している食品添加物として使用される次亜塩素酸水は電解型になります。
電解型と混合・粉末とイオン交換法の違い
電解型と混合・粉末とイオン交換法で生成された次亜塩素酸水は、それぞれ効果や用途が異なるのではないかと思いますが、製法以外の効果や用途はほとんど同様となります。
独立行政法人NITEのコロナウイルス検証でも電解型と非電解型どちらの次亜塩素酸水も有効性があると発表されました。
その発表の中で次亜塩素酸水ともうひとつジクロロイソシアヌル酸ナトリウムも有効と判断されています。
このジクロロイソシアヌル酸ナトリウムとは、固体の塩化剤となります。
顆粒と錠剤のタイプがあり、プールの消毒の際に用いられます。
これは非電解型次亜塩素酸水に分類されますが、混合やイオン交換法とは異なる性質なのでNITEでは分けて記載されています。
現在、この粉末で生成する非電解型次亜塩素酸水の製品が多数販売されており、水に溶解しなければ長期間保存することができると言われています。
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの違い
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは名前が似ていることから同様のものと思われることがあります。
しかし、それぞれ全く異なるものです。
次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性でハイターなどの漂白剤や殺菌剤として使われ、酸性液と混ざると有毒ガスが発生します。
次亜塩素酸イオンと水酸化物イオン、水酸化ナトリウムが成分となっています。
また、刺激性が強く肌にダメージを与えてしまうので、使用するときは換気と手袋、マスクを着用しなければなりません。
そして、残留塩素より人体や環境に影響がある可能性があります。
次亜塩素酸水は、食塩水や塩酸を電気分解して生成され次亜塩素酸が主な成分となる水溶液です。
中には電解せず生成する次亜塩素酸水も存在し、電解型次亜塩素酸水と非電解型次亜塩素酸水に分けられます。
食品添加物として指定されているのは電解型次亜塩素酸水で次亜塩素酸濃度が厚生労働省によって決められています。
それに対し、非電解型次亜塩素酸水に規定はなく次亜塩素酸濃度が高いものも存在します。
そんな次亜塩素酸水にはウイルスを無毒化する効果が期待できます。
ウイルスには「インフルエンザや新型コロナウイルスなどのエンベロープウイルス」と「ロタウイルスやノロウイルスなどのノンエンベロープウイルス」の二つの種類が存在します。
アルコールはエンベロープウイルスにのみ効果が期待できますが、次亜塩素酸水はどちらにも有効性があることがわかっています。
食品を取り扱う場所や医療現場で使われ、食品添加物の殺菌料として使用されています。
次亜塩素ナトリウムとは異なり、希釈する必要がなく安全性が高いので水道水のように使うことができ注目を集めています。
新型コロナウイルスの消毒液として代表的となったアルコールは手荒れを起こす可能性がありますが、次亜塩素酸水は手荒れしにくいということもメリットとなるでしょう。
次亜塩素酸水の厚生労働省ガイドライン解説
次亜塩素酸水は独立行政法人製品評価技術基盤機構NITEによって新型コロナウイルスに有効性があると判断されています。
それに対して厚生労働省が次亜塩素酸水を使ってモノのウイルス対策をする場合の注意事項を公表しています。
次亜塩素酸水は安全性が高く殺菌力も強いですが、適切に使用しなければ効果を期待できないでしょう。
効果を発揮させるためには厚生労働省のガイドラインから電解水生成装置のメーカーマニュアルなどを確認しておくことが大切です。
家庭やオフィス、店舗などで使用する場合には厚生労働省のガイドラインを参考にして使用していきましょう。
次亜塩素酸水の使い方
厚生労働省のガイドラインには次亜塩素酸水を使用した拭き掃除と流水でかけ流す方法を紹介しています。
どちらの方法でも有効塩素濃度を把握しておくことが重要になります。
拭き掃除には、次亜塩素酸水の有効塩素濃度80ppm以上のものを使います。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどの粉末状の製品を使う場合は、有効塩素濃度100ppm以上のものです。
まず、拭き掃除をする場所の汚れをあらかじめ落としておくことが重要です。
次亜塩素酸水の特徴として有機物に触れると効果を失ってしまうことが挙げられるのでそれを回避するために行います。
しかし、汚れが取り除けない場合もあるでしょう。
その際は有効塩素濃度を200ppm以上に高めて使います。
濃度を高める時は手袋を利用するなどの保護をしてから行いましょう。
そして、拭き掃除をする場所の表面が次亜塩素酸水でヒタヒタになるまで濡らします。
十分な量を使用しないと効果が出ないため次亜塩素酸水をしっかりつけて消毒していきましょう。
その後、20秒以上時間を置いて清潔な布やペーパーで拭き取ります。
これで次亜塩素酸水の拭き掃除の方法は終わりです。
流水でかけ流す場合は、次亜塩素酸水の有効塩素濃度は35ppm以上のものを使います。
拭き掃除をする場合と同様に目に見える汚れをあらかじめ落としておきましょう。
そして、次亜塩素酸水の生成装置から直接流水を20秒以上かけ流します。
生成装置があることが前提ですから、家庭で使うことはほとんどなく店舗で使用する方法となるでしょう。
この方法も最後に次亜塩素酸水が残らないように清潔な布やペーパーで拭き取ります。
正しい使い方ができていないと次亜塩素酸素水の効果が発揮されないのでガイドラインに沿って使用しましょう。
ウイルスの無毒化による消毒
そもそも、なぜ次亜塩素酸水で消毒できるかというと塩素の酸化作用によってウイルスを無毒化することができるためです。
塩素は次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンという物質から成っていて、これが殺菌効果のある有効塩素となります。
そして、ウイルスの構造を酸化作用によって変化させ消毒します。
「塩素を使用する」と聞くと危ないものではないか、と思ってしまう人もいますが塩素殺菌は水道にも活用されています。
塩素による消毒をやめると私たちの水は伝染病が蔓延し、衛生的な食品も届かなくなってしまうと言われているのです。
次亜塩素散水を生成する次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの存在する割合は水素イオン濃度であるpH値に依存しています。
次亜塩素酸イオンよりpH値が低い酸性である次亜塩素酸の方が、殺菌効果が強いことがわかっていて次亜塩素酸水を使用することでウイルスの無毒化が可能になります。
私たちの知らないところで次亜塩素酸水は使用されていますが、ウイルスの無毒化効果があるからこそ食品を安全に食べることができるのです。
新型コロナウイルスにも有効性があると発表されたことでより身近な消毒方法となるでしょう。
消毒で気を付けるポイント
次亜塩素酸水で消毒するときに気をつけるポイントがあります。
まず、使用する製品の使用方法と有効塩素濃度、酸性度、使用期限を確認してみましょう。
それらの条件に該当しなければ効果的な消毒ができないためです。
上記の次亜塩素酸水の使い方で示した通り、拭き掃除には「有効塩素濃度80ppm以上」、流水でかけ流す場合は「有効塩素濃度35ppm以上」のものを使用しましょう。
濃度が高いものを使用するときはゴム手袋を利用し肌を保護してください。
また、次亜塩素酸水は酸や塩素系漂白剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生する危険性があります。
次亜塩素酸ナトリウムではないことも表示で確認しましょう。
そして、次亜塩素酸水は紫外線で分解されてしまうため、遮光性の容器に入っていることが重要です。
保管する場合は冷暗所へ子どもの手が届かないところへ置いてください。
次亜酸素水は安全性が高く効果もあるとお伝えしましたが、厚生労働省ではモノに対する消毒として使用することを推奨しています。
アルコールとの代替品ともなれば手指の消毒としても使いたいところですが、肌や粘膜にダメージが生じる可能性を否定できないのです。
ですから、次亜塩素酸水で消毒する時は手袋を着用して使用します。
そして、肌や粘膜だけでなく次亜塩素酸水を吸い込むことも良くないと言われています。
窓を開けて換気をしながら安全に使っていくことが重要です。
メリットの多い次亜塩素散水を自分で生成しようとする人も増えています。
しかし、厚生労働省では家庭で次亜塩素散水を自作することは推奨していません。
塩素が発生することがあるので自作する時は注意しなければなりません。
次亜塩素酸水は加湿器に推奨されない理由
新型コロナウイルスを消毒する方法として次亜塩素酸水を加湿器にいれて室内空間へ噴霧するという方法が注目されていました。
しかし、厚生労働省より次亜塩素散水を空間噴射は推奨しないという発表がありました。
各メーカーが次亜塩素酸水を加湿器に入れて試験や実験などを行っていますが、空間に噴霧することで「ウイルスを消毒することができる」ということは未だ証明されていません。
また、人がいる場所で次亜塩素酸水を噴射すると危険だという発表もされており、次亜塩素酸水の塩素が体内に入り蓄積されることで毒となる可能性があります。
これは、実際に消費者からの事故情報データバンクに健康被害が届いています。
職場で次亜塩素酸を噴霧したことで目が腫れたり、呼吸困難になったりなどの報告があり、中には次亜塩素酸水と間違え次亜塩素酸ナトリウムを噴霧したという報告も確認されています。
世界保健機関(WHO)では、消毒剤の噴霧は室内・屋外で推奨しておらず、人の健康に有害となり得るとしています。
そして、次亜塩素酸水の効果である酸化作用により加湿器が錆びる可能性もあります。
加湿器で噴霧されれば床や壁、空間にあるものに塩素が蓄積されることとなり、加湿器だけではなく噴霧された空間にある楽器や精密機器などに次亜塩素散水が付着し錆を生じる場合もあります。
以上のことから次亜塩素酸水を加湿器で噴霧させることは推奨されていません。
しかし、メーカーによっては危険だという確証がないことから塩素濃度を注意すれば問題ない、と考えていることがあります。
ウイルスは湿度に弱いことから加湿器が効果的と言え、次亜塩素酸水を使うことで水が腐りにくくなるというメリットがあるとされます。
噴霧することで次亜塩素酸が床や壁に落ちて付着し、空間を殺菌できる効果が期待されるのではないかと検証しているメーカーもあります。
また、人体への影響としては塩素濃度が低ければ問題なく安全だと言えるとしています。
部屋であれば人の出入りや換気などにより塩素が増えすぎることはないと訴えるメーカーもあり、まだ分からないことが多いものとも言えるでしょう。
次亜塩素酸水の一般的な作り方と保存方法
電解型次亜塩素酸水を生成するには、生成機器が必要となりますが、非電解型次亜塩素酸水ならば原料が手に入れば家庭で生成することが可能です。
ここでは、簡単に手に入る粉末状のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを使用した粉末法と生成機器を利用した電解型次亜塩素酸水の一般的な作り方を解説していきます。
粉末状のジクロロイソシアヌル酸ナトリウムでの作り方
下記の方法では50ppmの次亜塩素酸水の作り方となります。
1.まず防護メガネと手袋で保護して作業を始めましょう。
2.はかりでジクロロイソシアヌル酸を1g計量します。
3.2を空のペットボトルに入れます。
4.容器に500mlの水を半分入れ上下に振って混ぜたら水を全て入れます。
5.これで濃度1000ppmの原液が完成しました。
6.原液25mlと水道水475mlを混ぜます。
7.これで濃度50ppmの除菌水が完成しました。
完成しましたら、霧吹きスプレーに入れて使用します。
生成器を利用した電解型次亜塩素酸水の作り方
本来、業務用しかなかった電解型次亜塩素酸水の生成器ですが、現在ではさまざまな生成器が販売されています。
ここでは、携帯もできるコンパクトなサイズの生成器での作り方を紹介しています。
1.水道水を生成器に入れます。
2.塩を規定量生成器に入れます。
3.塩を左右に振って溶かします。
4.生成器を置き、ボタンを押し約3分間待ちます。
5.電解水を左右に振ったら完成です。
生成器を使用すると簡単に電解型次亜塩素酸水を作ることができます。
作成に必要な材料と保存容器
上記の粉末状のジクロロイソシアヌル酸を利用する方法で次亜塩素酸水を作るときに必要な材料と保存容器は以下のものになります。
【準備するもの】
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
防護メガネ
手袋
500ml計量カップ
50ml計量カップ
はかり(0.1g単位)
500mlペットボトル2本
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムはインターネットなどで簡単に手に入れることができます。
価格も千円代〜数千円代で購入することができるので手軽なものと言えるでしょう。
また、水溶液の状態だと次亜塩素酸水の効果が時間と共に減衰していきますが、粉末状であれば溶かした時点からとなるので長期保存することも可能です。
ただし、購入するときには保存容器に注目してみてください。
次亜塩素酸水は紫外性によっても効果を失ってしまうので遮光性のある容器でなくてはなりません。
使用して余った際もその点を注意して保存しておきましょう。
家庭用の生成器の価格は約1万〜2万程度です。
置き型からコンパクトな携帯型まで存在します。
生成器を購入するときは詳細をしっかり確認する必要があります。
電解水の効果は目に見えないものですから本当に効果のあるものか、または危険性はないか自分で判断しなくてはなりません。
独立行政法人国民生活センターでは、本来すべき記載がなく次亜塩素酸水効果をうたう製品の報告があったとしています。
有効塩素濃度や液性(pH)の記載がされていなかったり、広告などから誤認の恐れがあったりなどの情報提供がありました。
新型コロナウイルスの対策製品としてさまざまな製品が溢れている中、次亜塩素酸水も自分で選択していかなくてはなりません。
また、保健所や市町村で紹介されているほとんどの消毒液の作り方が次亜塩素酸ナトリウム液です。
次亜塩素酸水ではないので間違って使わないように注意してください。
作成時のポイント
次亜塩素酸水を作成する時は、防護メガネと手袋、換気を忘れないように行いましょう。
作りたい濃度になるようにしっかり計測することも重要です。
また、製品を購入する際に次亜塩素酸という表示だけを確認するのではなく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなのか、原材料を確認しましょう。
市販で販売されている生成器
市販でも次亜塩素酸水を生成できる機器が販売されています。
生成器で作成された次亜塩素酸水ならば電力型次亜塩素酸水となります。
価格帯は1万〜あり、小型のものも存在します。
生成された瞬間から効果が薄れていくので効果の持続期間を把握しておくことが大切です。
ウイルスの無毒化効果が有効な保存方法
次亜塩素酸水は、紫外線に弱いので保存方法に注意しなければなりません。
そのことから保存する場所は冷暗所で温度が低いとこが推奨されます。
また、スプレーボトルにいれて使用することが多いですが、遮光性がないのでアルミホイルを巻いておくと良いでしょう。
しかし、上記のような保存方法をとっても時間が経てば効果が減衰してしまうので、早めに使っていくことをおすすめします。
ウイルスの無毒化効果が有効な保存期間
電解型次亜塩素酸水を生成した場合、以下メーカーでは水道水のみの電解水は常温保管で約1〜2日程度、塩を入れて生成した電解水は常温で約3〜7日程度、冷蔵で約2〜3週間程度使用できるとしています。
また、別の製品では12〜24時間で半減するとされています。
このように製品によって保存期間が異なるので各製品を確認してみましょう。
共通して言えることは、電解型次亜塩素酸水は時間と共にウイルスを無毒化する効果が失われていくのですぐ使うようにすることが大切です。
最後に、次亜塩素酸水として販売されている中には信憑性の低い製品が存在していることを頭に入れておきましょう。
液体のpH値や次亜塩素酸濃度を(ppm)などを明記していなかったり、安全な保存方法が記載されていなかったりと法令に抵触している製品があります。
チェックする項目は、成分、濃度(ppm)、遮光性のある容器か、安全上の注意点の記載があるか、有効試験結果の記載があるか、製造年月日の記載がされているかなどがあります。
次亜塩素酸水の詳細を知らない人が多いので、それらしいことが記載されてあれば購入してしまう可能性があります。
液体タイプでも粉末タイプでも同様に、そういった製品が出回っているので注意して選択していきましょう。
次亜塩素酸水の特徴・メカニズム・使い方・保存方法まとめ
次亜塩素酸水について特徴・メカニズム・使い方・保存方法をまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
最後にポイントを記載しておきます。
・食塩水などの安全な主成分からできている。
・拭き掃除には「有効塩素濃度80ppm以上」
・水でかけ流す場合は「有効塩素濃度35ppm以上」
・pH値は低いほど殺菌効果が強い
・次亜塩素酸ナトリウムは用途が違い、取り扱い注意。
・含まれる塩素による体内の蓄積や室内の金属の錆に注意する
・紫外線で分解されてしまうため、遮光性の容器で保管
・市販での購入時、「有効塩素濃度と液性(pH)の記載」に注意
ウイルスと共存していく日常で様々なシチュエーションに応じた選択肢があることで受け入れやすくなっていくことかと思います。
普段の消毒・除菌に次亜塩素酸水を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社、Kurashiの救助隊はウイルス消毒の専門に特化した特殊清掃部隊です。
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電話対応時間:24時間365日対応 TEL:0120-921-859
資料参考サイト:
https://item.rakuten.co.jp/joyplus/jds-b1-wt/
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https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000641292.pdf
https://www.mhlw.go.jp/1
https://www.mhlw.go.jp/2
https://www.nite.go.jp/data/000108456.pdf
https://www.nite.go.jp/data/000108458.pdf
https://www.pref.kanagawa.jp/
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